思い出ししことなど

あのひとはまぁ、元気そうだしいいとして

このひともまぁ、元気そうだしいいのかな

心配なのは、あのときのあの子

駄目だよと強く禁止され

あの子の欲望はどこへいったのだったっけ

 

表面を削ると、血液がさっと流れる

それに見慣れたあとにまた深く削ると

今度はもっともっと軽く鮮やかな赤が生まれる

軽薄な人がうつくしいと言ったので

私は誰にも見せぬまいと誓ったのであった

うつくしい必要なんてないのだ

ただただ、皆とおんなじ血液の色が良かったのだ。