2022-12-10 詩・居酒屋にて 銀杏の薄皮を剥く指さきに 幽けき水音だけが触る 日曜は、月の無い夜に呑み込まれる 虚を行き来する中央線が おもての暖簾を小さく揺らす 二度と会わないひとたちの 生活のひかりを想像す もう、関係のない、ひとたちの どこかの世界が健やかなることを。 薄皮を剥いだ銀杏は すっかり黄色くなってしまった ふやけし指に触るるのは 誰かの誰か、の、ひかりだろうか あっという間に、 冬は暮れゆく