2022-01-01から1年間の記事一覧

燗酒・三句

燗酒や焼きはんぺんの齧りかけ 今日の日は猪口に降り積む燗酒かな 燗酒や笑顔が泣き顔に見えるひと - 大らかでいて快い繊細さを持った方と気持ちの良いお酒を呑んだ。良いお酒だった。

休み前

シャンパン一本で夜を過ごすのは 終わらないはじまりのよう はじまらない終わりのよう 軽やかに絶望し続けるひとが しなやかにくるくると踊っている シャンパン一本で夜を過ごすのは。

詩・居酒屋にて

銀杏の薄皮を剥く指さきに 幽けき水音だけが触る 日曜は、月の無い夜に呑み込まれる 虚を行き来する中央線が おもての暖簾を小さく揺らす 二度と会わないひとたちの 生活のひかりを想像す もう、関係のない、ひとたちの どこかの世界が健やかなることを。 薄…

素描

届かないラブレターの自己陶酔黴びた蜜柑は粉状に散る 失恋の甘さ忘るる大人とは加害者となることを知ること - 言葉にしにくいものが心の奥底に積み上がっている。言葉にできない感情、というのは綺麗だけど、そうではない、誰にも伝わらなくて良いこと、が…

俳句・九月

9.26 すすきの椀焼き椎茸の香りかな 9.27 国葬日カレー屋の小蝿やかましき

日記・晩夏

久しぶりにちょっとゆっくり帰省して、のんびりとできて良かった。家族というのは面白いもの。絶対的なひとつの共同体であると同時に、皆それぞれ別の人間で。 小田原からロマンスカーで新宿に戻ると人でいっぱい。いつもの風景なのに、田舎にいた気分を引き…

俳句・7月

7.29 「稲川淳二」は夏の季語というニュースを見たので句作してみたけど難易度が高すぎる。 (生身魂、は秋の季語らしいけど人魂はその傍題にはならないだろうか) 稲川淳二聞き干されし襦袢かな 人魂や稲川淳二の夜の闇 稲川淳二や恐ろしき人の世よ コンパス…

俳句・六月

6.11 褒め言葉欲する餓鬼か梅雨湿り

俳句・四月

4.24 たくさん届いた柑橘を食べる 春雨や湘南ゴールド剥きし指

俳句・3月

チューリップ掲ぐ幼き手に未来

俳句・新年

1月6日 東京に雪 目に見えぬコロナ真白に流る雪 紹興酒熱め焼豚初雪かな 1月9日 雪は氷に 切れる縁結ぶ縁 ボンゴレの見事な乳化日脚伸ぶ 1月30日 胃と精神の調子が悪い mumを聴く 哀しみの積もりて動けぬ冬深し あお空冴ゆフォークトロニカ蕩け出す