2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

燗酒・三句

燗酒や焼きはんぺんの齧りかけ 今日の日は猪口に降り積む燗酒かな 燗酒や笑顔が泣き顔に見えるひと - 大らかでいて快い繊細さを持った方と気持ちの良いお酒を呑んだ。良いお酒だった。

休み前

シャンパン一本で夜を過ごすのは 終わらないはじまりのよう はじまらない終わりのよう 軽やかに絶望し続けるひとが しなやかにくるくると踊っている シャンパン一本で夜を過ごすのは。

詩・居酒屋にて

銀杏の薄皮を剥く指さきに 幽けき水音だけが触る 日曜は、月の無い夜に呑み込まれる 虚を行き来する中央線が おもての暖簾を小さく揺らす 二度と会わないひとたちの 生活のひかりを想像す もう、関係のない、ひとたちの どこかの世界が健やかなることを。 薄…

素描

届かないラブレターの自己陶酔黴びた蜜柑は粉状に散る 失恋の甘さ忘るる大人とは加害者となることを知ること - 言葉にしにくいものが心の奥底に積み上がっている。言葉にできない感情、というのは綺麗だけど、そうではない、誰にも伝わらなくて良いこと、が…