2021-09-04 九月 9.3 秋草やいつもの場所に灯りあり 主なき虚空をまわる扇風機 調律の狂ったピアノ秋あはれ ねむりのかわりの句作り星月夜 きりぎりす鳴き止むやはらかな不眠 漱石の猫と戯れ夜長かな アルバムは未完なるもの白き風 9.6 秋霖にけぶりて明き焼鳥屋 秋雨やねぎま串待つひそやかさ 焼台の裸電球秋の暮れ 9.6 マンションの外壁工事梨の蜜 夏惜しむアフロビートのリズムかな 茄子焼くとろりと酔ひし夫かな 9.7 鰯雲ほんとはそれを捨てたかった 9.8 道の果てダム湖に揺るる芒かな 行けど行けども追いつけず山笑ふ 9.9 短髪の束まとまらず秋暑し 青信号あへて見送る夏木立