俳句・五月終わり

夕暮れの公園にワインとテイクアウトした焼き鳥を持って、夫とふたりでぼんやり過ごした。青い空が少しずつ、雲のグレーとふうわりとしたピンクに満ちて、そのあとぼんやりと月が出て。まわりが薄墨色に沈む中、月だけが硬質にひかっている。焼き鳥の入ったビニールのさわさわという音、葉っぱがかさそこという音。それだけの中で、ふたりでずっと月を見ていた。ワイン2本分の時間。

 

春の月ワインボトルの空となり

生ぬるき六月風に鉄の月

春の月ワイングラスの無き恋や

風光りて生命赤く点滅す

てのひらをこぼるる都会の麦の秋

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