俳句・つつじ
あをぞらに雨ひとすじやつつじ落つ
家を出るときは晴れているように見えた。傘を持たず、自転車に乗って走り出そうとするとふとおでこへの微かな水滴の感覚。見上げれば青空。なのに、マンションのグレーのエントランスは暗い水玉模様が浮かび、そしてその上へ鮮やかにばさばさと散るつつじの花々。お天気雨というドラマ。
躑躅、でつつじと読む。とのこと。なんでこんなかわいくない字をあてるのか。ということで平仮名の表記に。
天気雨を描写するのは難しいな。「晴れ間より雨の糸降るつつじ落つ」やら「あをぞらを雨の糸かなつつじ落つ」などなど試行した結果の句。
しかし、つつじが一輪おちてゆく瞬間を切り取っているような描写になってしまったよな、という反省もある。落ちている地面の描写をするのが本意であろうか。そうすると「躑躅散る」を上五に据える方が、つつじの落ちるドラマティックを(まるで殺人現場のようなそのドラマを)表現するかなあ。また、「あをぞらに雨ひとすじやつつじ落つ」には音がないので、雨が降る音の描写をした方がドラマティックな演出はできるかな。
躑躅散る晴れ間より雨打ちにけり